東証の市場再編を控えて関連銘柄を調べていたところ、IR支援を主な事業とする3社が目に留まりました。しかし、3社ともさらりと見た感じ違いがよく分からなかったので調べてみました。
- プロネクサス(東1・7893)
- TAKARA&COMPANY(東1・7921)
- アイ・アール ジャパン(東1・6035)
各データ一覧
各数値は2021年3月5日時点の予想値各社について
プロネクサス(東1・7893)
株券の印刷から始まり、現在は有価証券報告書や株主総会の招集通知などの作成を含めたIR支援が主たる事業です。有価証券報告書のシェアは55%ほど。数値を直接入力または他の会計システムと自動連係して数値を取得することで、各種IR関連書類が作成できる開示実務支援システム「PRONEXUS WORKS」がIR支援の主力ツールです。
その他にも、投資信託やJ-REITの開示書類作成支援、IPO支援、英文IR支援も行っています。
売上とセグメント割合の推移です。2021年3月期3Qの時点で、企業のIR支援で70%ほど、投資信託やJ-REIT関連で25%ほどのセグメント割合です。
国内IR支援でトップシェアを握っている企業です。と言っても、TAKARA&COと合わせて実質2社による寡占のようですね。
TAKARA&COMPANY(東1・7921)
国内IR支援トップはプロネクサスですが、2位はこちらのTAKARA&COです。
プロネクサス「PRONEXUS WORKS」と同様に開示書類作成支援ツール「X-Smart.」を展開しています。IPO支援や投資信託などの開示書類作成支援など事業内容がプロネクサスと似ています。
売上とセグメント割合の推移です。2021年3月にベネッセから翻訳会社(サイマル・インターナショナル)を取得して連結子会社としていて、2021年5月期の通訳・翻訳セグメントの割合が増加しています。
アイ・アール ジャパン(東1・6035)
調べる前までてっきりプロネクサスやTAKARA&COと同様のIR支援企業だと思っていましたが、全然違いました。TOBやMBOの前後で仕事をする企業と言うか、アクティビスト対策やM&Aなどでプロキシーファイトが発生しそうな時に力を発揮するというか。実質株主判明調査で企業規模を拡大してきました。
「物言う株主」という言葉を聞くようになった2000年代以降に存在感を増してきているのも頷けます。コンサル寄りの立ち位置です。
IRジャパンの2021年3月期3Qの決算説明資料の一部です。現時点でプロネクサスとTAKARA&COは主にIR(投資家対応)の会社に対して、IRジャパンは主にSR(株主対応)の会社と言えると思います。
競合は大手信託銀行になりますが、IRジャパンのシェアはかなり高いようです。
大株主として「BBH FOR UMB BANK, NATIONAL ASSOCIATIONOBERWEIS INT OPP INSTITUTION FD」が1.29%株式を保持しているようですが、ファンドではなさそうな印象ですね。また、CEOの寺下史郎氏が51.48%の株式をがっちり保持のオーナー企業です。
所感
プロネクサスとTAKARA&COはほぼ思っていた通りの事業内容でしたが、IRジャパンは全然違いましたね。3社のうちIRジャパンの業績の伸びが段違いで不思議に思っていましたが、調べてみて「今後需要ありそう、なるほど」と思いました。売り上げはプロネクサスとTAKARA&COの半分以下にも関わらず、時価総額はそれらの7~10倍とかなり評価されています。もっと前に調べていればと一瞬悔やんでみましたが、ここまでのグロースど真ん中銘柄は株価が低かったときでも買えなかったですね。
プロネクサスやTAKARA&COもSR(株主対応)分野への参入して欲しいところですが、IRとSR、近いようで遠いんでしょうね。コンサル業は利益率良さそうなので2社も参入検討したと思いますが、よほど障壁が高いのかな。
一方で、プロネクサスやTAKARA&COが全然ダメかというとそんなことはないと思っていて、上場企業は増加傾向であること(増えすぎとみる向きもある)と、東証の市場再編(東証1部、東証2部、ジャスダックがプライム、スタンダード、グロースに基準を変更して再編)があり、大きく伸びることは難しいとは思いますが、堅実に稼いでくれそうな気がしています。また、これらの因子はM&Aが増える要因となりやすくIRジャパンにとってもプラスに働きそうです。