インフラファンドを比較してみたブヒー。
コロナショックではしっかり下げましたが、株式に比べると戻り方は力強い気がします。自粛によって消費される電力が減少することで、地域によっては出力制限が増えるかもしれませんが、発電とコロナウイルスは直接の関連薄いですからね。
前回、インフラファンドの比較をしてから1年3ヶ月ほど。その間に新しくジャパン・インフラ投資法人が上場しました。ほかの銘柄もPOを実施して、新規物件をポートフォリオに組み入れたりとデータに変更あるので、自身の保有銘柄の点検の意味合いもあり、調べてみました。
各データ一覧
2020年5月29日時点で、下記のようになっています。分配金利回りと利益超過分配金率は予定されている今後1年分です。カッコ内は前回との比較ですが、決算時期が各社バラバラなのでご注意ください。
個人的に買いたい順に並べる
- 規模(大規模>小規模)
- 利益超過分配金率(低い>高い)
- 成長(パネル出力合計の伸び)
タカラレーベン・インフラ(9281)
- 前回挙げた長所
- 分配金に占める利益超過分配金の割合が最も低い
- 規模がカナディアンソーラーに次いで大きい
- 前回挙げた短所
- なし
順調に規模を拡大しており、規模の面で首位のカナディアンソーラー・インフラ(9284)に迫ってきました。物件の72%が東京電力管内ということで関東偏重気味ですが、九州のような頻度で出力制御が発生するような状況ではないと思います。 ただ、「出力制御が必要な状況になりつつあるという」ことで心配は尽きませんが。
また、格付けが2019年12月に「安定的」から「ポジティブ」へ上がっています。以前は本ファンドのみ格付け取得していましたが、他のファンドも格付け取得するようになりましたね。
ただ、心配なところがひとつ。分配金が2018年から漸減中です。以前からの会社説明資料のとおりではあるのですが、「保守的に見積もっただけで、そうはいっても増配してくるんじゃないかなぁ」と楽観的にみていました。しかし、ファンド予想よりは若干上振れしているものの、実際2019年5月期で前年比で1口当たり150円、2019年11月期では500円弱下がってしまいました。ファンド予想では公表されている2021年5月期も減少予定です。
個人的に本ファンドが有望と考えていて、現時点でインフラファンドの中で本ファンドの保有割合が最も大きくなっています。しかし、分配金の漸減が止まることが確認できないとこれ以上の買い増しは難しいですね。
2019年12月に規模が大きくないものFIT価格27円/kWhの物件を取得していて、今後FIT価格の低い物件の取得が急激に進むようだと、漸減ペースが速まる可能性があります。なぜこんな早い時期に低FIT価格の物件を放り込んできたのか…。スポンサーパイプラインの弱さが心配になります。
まだFIT価格36円/kWhの物件はありそうなので、そこまで心配していませんが、徐々に27円/kWh、24円/kWhの物件も増えていきそうです。
ジャパン・インフラ(9287)
2020年2月に上場したばかりで、変則的な1期目を除いて2、3期の会社予想で計算すると、分配金利回りは6.17%、利益超過分配金率は36.71%になります。インフラファンドの平均的な利回りまで上昇しますが、利益超過分配金率も上がります。
総合商社の中でも発電事業に強い丸紅がスポンサーです。その辺も格付けに反映していてR&I A(安定的)とインフラファンドの中でも最も評価されています(JCRの格付け取得している会社もあるので直接比較は難しいですが)。
ファンドの分配金予測をみてみると、安定的に2800円程度の予定ですが、11月(6月~11月)に比べて5月期(12月~5月)の利益超過分配金率が大きく上昇する傾向があります。ポートフォリオの66.7%が北陸地方であり、雪を含めた天候の影響が大きいのか、はたまた上場したばかりで安定していないだけなのか…。
通常であれば新しく上場したファンドに対しては、安定するまで様子見といきたいところですが、本ファンドは高い順位です。主に丸紅への期待と大きな弱点がなさそう、また他のファンドの弱点がなかなか解消されないというところでこの順位です。LTVが低いのも良いですね。60%程度での運用を想定しているようなので、まずはPOしなくても物件取得できそうです。
個人的に本ファンドの保有額はまだ少ない状態です。丸紅の安定した運用と成長に期待しつつ、買い進めていきたいです。
カナディアンソーラー・インフラ(9284)
- 前回挙げた長所
- パネルメーカーならではの垂直統合モデルのメリット
- 規模が最も大きい
- 前回挙げた短所
- ポートフォリオが九州偏重
3物件の増加ですが、少し物足りないですね。例年2、3月頃に新規物件の取得ですが、2020年はここまで新規物件の取得はありません。スポンサーパイプラインで少なくとも5物件(約80MW)が稼働済なので、ものがないわけではないですが、2019年はPOしなかったことが響いてるのかもしれません。
スポンサーパイプラインで稼働中5物件のうちの一つが大分県の53.4MWの物件ですが、ファンドが所有している物件を含めても最大規模で、これを組み入れるとさらに九州偏重が加速してしまいますね。ただ、この物件を除けば開発中の物件も含めて、規模の濃淡はありますが全国に散らばってるイメージです。開発中の物件の中には福島県の100MW規模のものもあり、2022年頃稼働予定ですが、メガソーラーに対する世間の目も厳しくなってきているので、すんなり稼働するかは油断できないところです。
ただ、今回取得した3物件はいずれも非九州で、九州偏重を解消する動きにはなっています。2019年9月にJCR A-(安定的)の格付けを取得しています。
分配金は安定させようとする意志が感じられ、心強いです。前回に比べて利益超過分配金率が低下しているのも安心です。
成長性が少し物足りないですが、FIT価格低下に対してパネル価格等設備費の調整が付きそうなパネルメーカーという立場があり、分配金は利益超過分配金がほどほどで安定してきており、もう少し順位が高くても良さそうとは思うのですが、九州偏重が解消されないと少し怖いところです。出力制御の影響は軽微と毎月プレスリリースを出してますが、軽微とはいえホルダーとしてはあまり気持ちのいいものではなく、スポンサーパイプラインにまだ九州の物件は多く残っています。
九州電力管外へ電力を融通するネットワークがさらに発達したり、蓄電池の大容量低価格化で夜間電力として使えるようになると出力制御に左右されずに面白くなってくるのですが…。
日本再生エネルギーインフラ(9283)
- 前回挙げた短所
- 利益超過分配金率がちょっと高い
例年2月と8月に定期的に物件を取得していて、成長性という面ではインフラファンドで最も勢いがありました。一時はパネル出力合計でタカラレーベンインフラ(9281)を上回ることもあったんですが、今年の2月に物件の取得はありませんでした。こちらも今年はPOできてませんからね。
個人的に1物件当たりのパネル出力合計(パネル出力合計/物件数)はほどほどに大きい方が評価が高いです。単純に管理費がかさみそうというのが理由です。タカラレーベンインフラ(9281)では電気ケーブル盗難という事件が発生しており、今後はセキュリティ面での運用コストも上がっていきそうです。一方、物件が小分けになることでリスク分散され安定的に電力を供給できるというメリットもありますが、先にあげたデメリットの方が大きそうという判断です。
ただ、あくまで「ほどほど」に大きい方が好きなので、仮に100MWのメガソーラー3つの合計300MWファンドが存在していたら、それは流石に評価低いです。ちなみに、東京インフラ・エネルギー(9285)は福島県の1物件だけでパネル出力合計の68.2%を占めていて、リスクとりすぎという意味もあり、評価が低いです。
分配金は3200円で安定的に出していくようで、安心です。ただ、利益超過分配金率が下がってこないので、なかなか個人的に評価を上げづらいところです。
エネクス・インフラ(9286)
- 前回挙げた長所
- 伊藤忠エネクスがスポンサー
- 太陽光以外の発電(風力、水力等)を組み入れる予定
- 前回挙げた短所
- 利益超過分配金率が高い
1物件のみの取得です。上場してから1年以上が経ち、上場したばかりで…とは言えなくなっているので、成長性は少し不満ですね。ある程度規模が大きくなってから組み入れるとしていた太陽光以外の発電所の取得もまだ先になりそうです。太陽光以外の発電所の組み入れは個人的に評価が高い箇所なので、頑張ってほしいところ。ちなみに、スポンサーパイプラインでは既に約170MWの水力発電が稼働済みです。
分配金は前回高いと思っていた利益超過分配金率がさらに上がってしまいました。積極的に買い増しはできないです。太陽光以外の発電所の取得があれば、注目されそうなので、そこまでは耐える時期なのかもしれませんね。
東京インフラ・エネルギー(9285)
前回から大幅に利益超過分配金率が改善されました。一方で、新規で物件を取得しておらず、成長の面で評価が低いです。
いちごグリーンインフラ(9282)
新規物件の取得もなく、利益超過分配金率も高止まり。インフラファンドの今後あれこれ
インフラファンド指数の導入
2020年4月27日からインフラファンド指数の算出が始まりました。この指数をもとにした投資信託やETFが開発され、インフラファンド市場に資金が流入することが期待されています。
新規物件のFIT価格低下
今後取得される物件についてはFIT価格の低下が避けられません。このままでは利益率は低下の一途ですが、パネル価格と蓄電池価格の低下、発電効率の上昇あたりの技術革新が進んで利益率の低下と対抗すると考えていたのですが、なかなか進みませんね。
送配電関連費用の一部負担
まだ制度としては未確定な部分も多いですが、現在は電力小売りを行っている事業者が負担している送電線や配電線の運用・保守にかかる費用を発電者側にも一部負担してもらうような流れで議論が進んでいます。そうなると発電者側であるインフラファンドの収益が悪化することは間違いありません。
しかし、再生可能エネルギーの割合を増やしていくという国策がある中で、そこまでひどい決着にはならないんじゃないかと期待込みですが考えています。