10年、20年の連続増配は当たり前で高配当、配当性向も高くなく更なる増配もありそうなリース各社ですが、PERやPBRでみると結構安値で放置されているイメージです。インカムゲインを目的とした方々にはもちろん、株主優待が充実している会社が多いので優待族の方々にも人気あるのですが。
最大手のオリックス以外は、三菱や伊藤忠、みずほ、NEC、日立製作所、リコーのグループ企業として各社株式の少なくとも3割程度は親会社が保有しているような形態になっています。この辺も安定している理由でしょうか。
規模と配当、安定感、優待あたりで6つを選択して比較してみました。
NECキャピタルソリューション(東1・8793)も入れたかったところですが、そんなに横幅がとれない…。
各データ一覧
2020年5月1日現在、下記のようになっています。時価総額順です。BBHフィデリティ2ファンド合計の保有推移
下記2ファンド合計の各社保有推移をグラフにしました。2ファンドとも所有しているのはリコーリースのみです。また、オリックスと三菱UFJリースは保有していないので省略しています。- BBHフィデリティイントリンシックオポチュニティズF(FDMLX)
- BBHフィデリティロープライスドストックF(FLPSX)
保有額の推移はこちら。
2018年4月30日の保有株式数を100とした場合の保有株数の推移はこちら。2019年前半までは売買はほぼありません。2019年4月あたりで芙蓉総合リースを買い増しています。以降は、保有数を徐々に減らしています(日本株全体も同様の傾向です)。
個人的に買いたい順に並べる
優待が充実しているので、各社100株ずつ長期保有でも良さそうではあります。国内リース市場の伸びが見通せない中で、国内外多角的に事業を展開していくことで活路を見出そうとしていたところでした。中でも有力な事業として、規模の大きな会社は海外の航空機リース事業に力を入れていたところも多かったのですが、コロナショックで航空機リース事業は先行き不透明な状況になってきました。バフェットも航空株を全部売却したって言ってますし。ただ、各社の航空機セグメント割合はまちまちで影響の強弱はありそうです。
一方で、リース会社としてコロナショックは負の側面だけでなく、テレワークが推進されることで、PCやモニタ、ルータなどの情報通信機器のリースが増えたりしないかなと思っています。ただ、クラウド化が進んでいくので端末側のパフォーマンスはあまり要求されなくなっていくと考えています。リース期間が長くなったり(更新頻度が下がる)、低価格化によりリースから購入への切り替えが進むことも考えられます。
オリックス(東1・8591)
リース会社という括りで登場してもらっていますが、もはやリースが屋台骨の会社ではなくなっています。会社HPで公開されている情報ですが、「メンテナンスリース」セグメントの利益は全体の10%ほどです。
リーマンショック時に株価が約20分の1まで下落し、減配したりと結構打撃を食らったイメージが強いですが、当時もかろうじて黒字を保つなどしっかりしています。減配した配当も6年後ぐらいには戻ってきているので、下がったところで買って気長に待てれば。
2018年12月とデータが古いですが、太陽光発電事業者としても日本でトップのようです。セグメント比率は低いですが、この辺の事業は安定的に稼ぎそうです。インフラファンド組成しないのかな。
2019年3月まで10年連続増配中でしたが、2020年3月は据え置き予定です。2021年度はさすがに減配するかなぁ。
保有株数によって優待グレードアップがあれば、買い増ししやすいですが。
リコーリース(東1・8566)
時価総額を見ても分かるように、今回並べた他のリース会社に比べると規模の小さな会社になります。ただ、他社が手掛けないような領域の事業もあったりして、個人的には面白い会社だなと思っています。2020年4月23日、株主構成がリコー50%→30%、みずほリース0%→20%となり、みずほリースが第2位株主になりました。現在、取扱高の4割がリコー関連ですが、これを契機に今後はリコー以外の事業も拡大していってほしいですね。リコー本体は2018年3月期に赤字に陥っていて、頼りない…。取引先企業の98%が中小企業で、(みずほグループと考えると)規模の大きなリース会社と組むことで相互補完の関係になれそうです。
セグメントはシンプルに「リース・割賦」「金融サービス」の2つですが、住宅賃貸や太陽光発電、集金代行、医療介護ファクタリングなど、国内事業で多角的に事業を展開しています。
約8割の利益を稼ぎ出す「リース・割賦」ですが、そのうち取扱高の半分は事務用・情報関連機器なのもなかなかいいですね。
ただ、コロナショックで「取引先企業の98%が中小企業」というところが、マイナスに作用しそうで気がかりですね。それでも、航空機リース事業は手掛けてなさそうで、リーマンショックをものともせず2019年3月期までで23年連続増配という実績があるので、底堅いのではないかと。
BBHの2つのファンドFLPSXとFDMLXが4位5位の大株主(みずほリースが入る前は3位4位)です。
三菱UFJリース(東1・8593)
2019年3月期決算資料より。収益の約30%が「航空」セグメントです。割合は大きめです。
20年連続増配中なので、そうそう連続増配は止まらないではないかと期待してしまいますが、明光ネットワーク(東1・4668)のように20年連続でストップということもあるので、油断はできないところです。
国内と国外の比率は6:4ぐらいと、他のリース会社に比べると海外比率が高いです。日本市場の大きな伸びは期待できない中で、既に海外で収益をあげているところはコロナショック終息後に期待できるのではないかと。
芙蓉総合リース(東1・8424)
全体のセグメント割合情報が見つけられず、苦労しました。芙蓉総合リース統合報告書2019より。
営業資産残高の割合ですが、全体が2兆3000億円で航空が1500億円、割合にして6.5%ほどになります。2020年度は2100億円の予定です。
成長エンジンとして捉えている戦略分野の一つとして、航空を挙げていて今後も増やしていく予定でしたがどうなるか。
IT機器、計測機器に強い横河レンタリースは芙蓉総合リースの持分法適用会社です。
17年連続増配
みずほリース(東1・8425)
2019年10月に元興銀リースからみずほリースに名称変更。丸紅と提携。芙蓉総合リース以上にセグメント割合情報探すのが大変でした。2017年末という古い情報になってしましました。
2018年3月会社説明資料より。まだ興銀リースの頃ですね。
営業資産残高の割合ですが、全体が1兆6000億円でうち「リース・割賦」が1兆1000億円です。航空が含まれる「輸送用機器」が「リース・割賦」の13.4%となっています。つまり全体に「輸送用機器」が占める割合は13.4×0.7で9.38%となりそうです。「輸送用機器」には他にトラック、バス、鉄道が含まれていて、航空機の割合は分かりませんが、そんなに高くなさそうです。
18年連続増配
東京センチュリー(東1・8439)
2020年2月にNTTと資本業務提携。NTTが10%株式を保持し、第3位株主に。2020年3月期第3四半期決算概要資料より。
資産残高の45%を占める「スペシャルティ事業分野」セグメントに航空機ビジネスが含まれます。今回選んだリース会社の中で、最も航空ビジネスに力を入れているようです。
2012年 ジェットスタージャパンの議決権16.7%取得
2019年 航空機リース大手の米ACGを約3200億円で子会社化
また、国内オート事業分野の1つとして、ニッポンレンタカーの約9割の議決権を保有しています。こちらの分野もコロナショックで打撃がありそうです。オリックスもレンタカーもってますが、東京センチュリーと比較するとセグメント割合がそんなに大きくなさそうなんですよね。
17年連続増配
おわりに
オリックス、リコーリース、三菱UFJリース、芙蓉総合リース、みずほリース、東京センチュリーと順位は付けましたが、そんなに差はないです。所詮素人なので、航空機セグメント比率とIR資料の見やすさの差ぐらいのものでした。あまり考えず、各社100株ずつでも優待効果でいい成績になりそうです。ほかの業種に比べてIR資料が見づらくて疲れました(特にみずほ系のいくつかが)。ほかの業種に比べて、利回りや優待が手厚いので投資家の方を向いてるとは思うのですが。身近ではなく慣れていない業種というのもありますが、扱うモノコト種類が多いので見せ方が煩雑になってしまうんでしょうね。
リース業界については、ちょっと古いですが下記の記事が非常に参考になりました。