インフラファンドを比較してみたブヒー。
ロシアがウクライナに侵攻、FRBによる利上げなど株式市場にとってネガティブに作用しているようで、軟調な展開が続いています。インフラファンドも同様に投資口価格は上向かない状況です。
ただ、FITに守られているインフラファンドは少なくとも20年間は安定的に分配金を出してくれると考えていて、今のようなリスクオフの状況では資金が流れ込んできてもいいんじゃないかと思っているんですが。原材料高、原油高に端を発するインフレが想定されて、インフレ局面でも分配金の上昇が見込めない(インフレに弱い)という面が強調されているのかもしれませんね。
個人的には当初想定していたポートフォリオのインフラファンド割合は買付できていたのですが、投資口価格の下落でインフラファンド割合が下がってきたため、買い増しを実施しています。
前回、比較した際の記事はこちらから。各データ一覧
2022年2月25日時点で、下記のようになっています。分配金利回りと利益超過分配金率は予定されている今後1年分です。カッコ内は前回との比較ですが、決算時期が各社バラバラなのでご注意ください。
個人的に買いたい順に並べる
- 規模(大規模>小規模)
- 利益超過分配金率(低い>高い)
- 成長(パネル出力合計の伸び)
タカラレーベン・インフラ(9281)
- 前回挙げた長所
- 分配金に占める利益超過分配金の割合が最も低い
- 規模がエネクス・インフラに次いで大きい
- 前回挙げた短所
- 分配金が漸減中
2021年12月にPOを実施、資産を組み入れて順調に規模を拡大しています。パネル出力合計はエネクスインフラ(9286)を抜いて、今度こそ1位になるかと思いきや、カナディアンソーラーインフラ(9284)もPO実施の資産組み入れをおこなっており、相変わらずの2位でした。また、上場してから下落傾向だった平均FIT価格がちょっと持ち直しました。
漸減中の分配金については、なかなか傾向変わらず。漸減は続く前提で保有判断する必要がありそうです。それでもFIT価格に守られ、高利回りであることは間違いないので、どこまで許容できるかと。
漸減中の分配金問題はあるものの、他のインフラファンドと比較した場合に利益超過分配金の低さなど、まだ相対的に優位性がある認識です。
現在の投資口価格は11月の権利落ちから12月のPO実施にかけて大きく下落したまま、回復していません。例年であれば115000円ぐらいまではするすると上昇していく傾向があったのですが、冒頭で記載した内容が起因しているのかもしれませんね。また、J-REITが弱含み始めた時期と被ってしまったことが、下落に拍車をかけたような気がします。
また、気になるところと言えばスポンサーパイプランの累計パネル出力は235MWですが、まだファンドに組み入れていない物件のパネル出力合計は約100MWぐらいのようです。今後資産を組み入れていく際は、スポンサーパイプライン以外からの取得も多くなりそうです。高くつく物件を無理に取得するようなことがなければいいですが。
カナディアンソーラー・インフラ(9284)
- 前回挙げた長所
- パネルメーカーならではの垂直統合モデルのメリット
- 前回挙げた短所
- ポートフォリオが九州偏重
PO実施して大きく資産を増やしてきました。パネル出力合計で久しぶりに首位奪還です。ただ、今回ポートフォリオに組み入れた物件はファンド最大規模なのですが、大分県の物件ということで九州偏重が強まってしまいました。ポートフォリオに占める九州電力管内の割合は約68%まで上昇しています。各電力管内の割合グラフが決算資料になかったりと、この辺の問題はファンドも意識しているようなので、中長期的に解消傾向に向かうと思っています。FIT価格は40円/kWhと申し分ない物件なのですが。
また、前々から長所として「パネルメーカーならではの垂直統合モデルのメリット」を上げていましたが、いつの間にかカナディアンソーラーの太陽光パネルシェアは下がっており、現在では世界シェア5位以内にはいない模様です。上場時は3位ぐらいだったはずですが、中国勢の上位占有がさらに進んでいます。コモディティ化が進み、必要なレアメタルが採れるとなると価格競争で中国と競争になりませんね。変換効率の改善や軽量化、曲げれるなど技術革新の余地はまだまだある分野と認識していますが、そこも中国が主導権握ってるのかな。日本勢も頑張ってほしい。
一方ポジティブな情報もあり、利益超過分配金が16.6%まで下がってきており、タカラレーベンインフラの11.3%と差が縮まってきました。また、タカラレーベンインフラで懸念されているスポンサーパイプライン枯渇の件は、こちらでは開発中も含めてパネル出力は390MWあり、心配いらない水準です。
ジャパン・インフラ(9287)
- 前回挙げた長所
- スポンサーである丸紅に対する安心感(格付けR&I A安定的)
- LTVが40%ほどと低い
- 前回挙げた短所
- 利益超過分配金率の高さ
今回も順調に物件を取得して規模を拡大してきました。物件取得によって上場時に北陸電力管内に偏っていたポートフォリオの地域分散がさらに図られ、北陸電力26%、九州電力24%などとなりました。
一方で、利益超過分配金率の高さは解消されず、逆に48%と上昇してしまいました。規模拡大のスピードが速いことによる弊害でしょうか。スポンサーパイプラインは潤沢に積みあがっているので引き続き規模拡大は続きそうです。
日本再生可能エネルギーインフラ(9283)
- 前回挙げた短所
- 利益超過分配金率がちょっと高い
前回から新たな物件取得はありませんでした。ただ、LTVと利益超過分配金率が改善されていて良い傾向です。次の物件取得でまた悪化してしまうんでしょうけど、このままジャパンインフラと日本再生可能エネルギーインフラの利益超過分配金率の差が広がっていくようだと、順位逆転もありそうです。
エネクス・インフラ(9286)
- 前回挙げた長所
- 伊藤忠エネクスがスポンサー
- 太陽光以外の発電(風力、水力等)を組み入れる予定
- パネル出力合計が最大規模
- 前回挙げた短所
- 利益超過分配金率が高い
こちらも前回から新たな物件取得はありませんでした。利回りは魅力的ですが、利益超過分配金率が下がったとはいえ50%となると、なかなか手は出しづらいところです。
東京インフラ・エネルギー(9285)
今回の新規物件の取得はありませんでした。相対的に考えて、あえてここを購入する理由は特になく。
いちごグリーンインフラ(9282)
新規物件の取得はなく、利益超過分配金率も高止まり。インフラファンドの今後あれこれ
いつもどおり、カナディアンソーラーの決算説明資料にキレイにまとめられていたので助かります。
インフラファンドに影響が大きそうなのは以下のようなところでしょうか。
- 発電設備の廃棄費用の積立制度
- FIP制度
- 発電側課金
「発電設備の廃棄費用の積立制度」は各物件のFIT終了10年前から積み立てということで、あと2,3年もするとインフラファンドでも対象の物件がでてきそうです。「発電側課金」あわせて、利益に対してどれぐらいのマイナス影響がでるか注視する必要がありそうです。